800名以上のボイトレ指導を行って分かった
高音の発声につまづく理由
歌やボイストレーニングを習う理由として、最も多い「高音の発声」について。
これまで、高音に悩む数多くの生徒さんのケースを見てきて、ほとんどの人に起こっていた共通点があります。
ボイストレーニング初心者の方、数年ボイストレーニングを行ってきたけど改善されなかった方は、ぜひ、読み進めてみてください。
先に、結論からお伝えしますと、高音が出しにくい原因は、
『普段、おしゃべりしている声の質感(重さ、トーン、響き)を高音でも使おうとするから』です。
「なーんだ、つまり地声を張り上げるからか」と思った方、
そんなに大雑把なものではありませんので、もう少し、細かく説明していきます。
※初心者の人にも分かるように、専門的な言葉はなるべく使わないようにしますね。
まず、フルートのような管楽器で音の高低をイメージしてみましょう。
低い音は、太く深い響きに、
高い音は、細く明るい響きになりますよね。
これは声も同じです。
高音は「細く明るい響き」になります。
しかし、おしゃべり声の低めのトーンが混ざってしまうと、その高い音に対して、喉の中は低めの状態になるので「苦しい、こもる、音程が下がり気味、息が足りなくなる、響かない」というような印象の声になります。
では、原因の「おしゃべり声の喉の運動」を無くせばいいという事になります。
はい、それが「息漏れ声(ひそひそ声)」になります。
地声のビリビリ、ジリジリといった声質の要素をカットします。
女性は、男性ほどは、ビリビリした声ではないと思いますが、それでも、よっぽど優しい囁き声のような話声でなければ、高音を邪魔する運動が入っていると思って頂いてよいでしょう。
高音が出しづらい訳①
■息漏れの声が出せない
■男性
地声で真ん中の「ミ(E4)」
裏声で高い「シ(B4)」
■女性
地声で真ん中の「ソ(G4)」
裏声で高い「ド(C5)」
上記の音ぐらいまで「ため息のような声」で発声できるとよいでしょう。ほとんど息で、かすかに声が出ているぐらいで発声できる事です。
音が上がっていくに比例して声が強めに出てしまう人は、おしゃべり声の運動が混ざってしまっているので、張り上げ気味の高音になる可能性が高いです。
およそ5割ほどの人が、この息漏れ声で音階を上げられない傾向があります。
そして、もし、この息漏れ声が出せたとしても、高音が出しづらい場合があります。
それは『息漏れ声→息を減らした声(実際の歌声)』に変える時に、しゃべり声の運動が混ざってしまう人です。
高音が出しづらい訳②
■息のセーブの仕方が間違っている
実際の歌声は、なるべく息を少なくして発声する必要があります。
息漏れ声で地声のジリジリ感を無くしても、息を減らし声を強く出した時に、またジリジリ声を出してしまっては、元に戻ってしまいます。
喉の使い方(息の減らし方)変えなければいけません。
練習方法としては、
まずは裏声で「息漏れ裏声→強い裏声」に変えてみます。
この時に、声が重くなったり、こもったり、喉が詰まる感じがあると上手くいきません。
上手くできている時は「息漏れ裏声→強い裏声」を5往復くらいは一息で変化させられます。
途中で息が足りなくなる場合は、喉の使い方が間違っている可能性が高いです。裏声で上手くできれば、同様に地声でも行えるはずです!
練習時、気を付けたいのは「声の明るさ」です。息漏れ声でも強い声でも、暗くこもる声はNGです。楽器の高音のように、明るく響きが遠くへ抜けていくような音色を、必ず意識します。
さあ、ここまでを整理しましょう!
高音は、細く明るい響きである。
(太くパワフルなイメージを抱かない)
高音が出しづらいのは、
【おしゃべり声の喉の運動を高音域にも引きずるから】
改善手順①:息漏れ声
→おしゃべり声の運動を無くす
改善手順②:息を減らし強い声に変えていく
→明るい声を保ち「息漏れ声→強い声」を、一息で5回以上、往復できる状態を作る
レッスンを行っていて、難しいと感じるのは②です。強く出した途端に、喉を締めてしまい、しゃべり声の感覚を入れてしまいたくなるのです。(声帯を強く閉じたくなる)
程よく息を流しつつ、バランスを取りながら、高音発声の運動を入れていくと上手くいきます。
良い発声の感覚を掴むと、今までとは180度違うような喉の感覚になるかもしれません。
それほど、高音域は、普段出している会話の声とは、違った状態になるという事なのです。(特に男性はギャップがあります)
高音でお悩みのあなたのボイストレーニングの参考にしてみてくださいね。